『 ウチのごはん  ― (1) ―  』

 

 

 

       ザザザザ −−−  シュシュ ・・・・

 

「 よっし ・・・ これでオッケーかな〜〜 」

ジョーは 箒の手を止めると ざざっとゴミをチリトリに集めた。

「 さ〜〜  すっきりした〜〜

 今日も 頑張る ぞぉ〜〜 っと 

彼は箒とチリトリを部屋の隅のロッカーに仕舞う。

 

     う〜〜〜ん ・・・ 

 

気持ちよ〜く伸びをしていると ドアの向こうに人影が見えてきた。

「  あ おはよ〜〜ございます〜〜〜〜 アサダ課長 〜〜 」

「 おはよう 島村クン 」

丁度出勤してきた中年女性に 彼は丁寧に挨拶をする。

ちょいとムズカシイ顔をしていた彼女は ぱあ〜っと笑顔になった。

「 いつも 早いんだね〜 」

「 え  ・・・ あは ぼく、ラッシュとか苦手で・・・ 

 都会モンじゃないんで〜 」

「 いやあ わかるよぉ〜〜  ところで 今日さ 

 また原稿取り があるだけど ・・・・ 行ってくれる? 」

「 あ S先生ですよね??  はい もちろん!!!

 作家サンの生原稿、見れるって今時 レアですよぉ〜〜 」

「 全くねえ・・・ 今時ねえ〜 他のライターさん達は

 み〜〜んなWeb入稿なのに ・・・ S先生は手書き原稿 だもんねえ 

「 ぼく 初めて見て・・・ すっご感動しました! 」

「 あ〜 アタシなんかでも新人のころ 数回だけ拝見したな〜

 うん うん その < 感動〜 > ってわかるなあ 」

「 えへ ナマイキ すいませ〜ん 」

「 んなこと ないよ、島ちゃん。 君のその感性、たいせつだよ 」

「 だと いいんですけど ・・・ あ おはよ〜〜ございます〜〜 」

 次々と社員さん達が ドアを開けて入ってきた。

 

   あ〜 おはよ〜〜 ・・・  おっは〜〜〜

   う〜〜 月曜は★   定時って誰がきめたん・・・

 

年齢もさまざまだけど全体的に ぼ〜〜っとした感じだ。

「 え〜〜  定時からミーティング 始めるからね! 」

先ほどの中年女性 ― アサダ課長 が 声を張り上げた。

 

   ふぇ〜〜い  ・・・ ふぁ〜〜 ねむ〜〜

   ・・ う〜〜〜 まだ起きてね〜よ〜〜

 

ぼそぼそ ぶつぶつ ・・・・ 言いつつも 

やはり 編集 というものを志す面々なので がたがたさせつつも

それぞれの席に付き始めた。

 

「 いっかな〜〜〜  で〜は 」

 

週始めの打合せが始まった。

 

 ― ここは都心にある雑居ビルの一室。

とある雑誌の編集部である。

 

島村ジョー君 は ひょんなことからこの編集部で雑用バイトとして

雇われ始め ― 今では正社員 ( 新人だけど ) として頑張っている。

 

「 え・・・っと メールチェックは ― 後だな〜〜 」

自分のデスクの前に座り まず彼は引き出しの奥の包にそっと触れた。

 

     えへへ ・・・ 

     コレがあるもんね〜〜〜

  

     さあ 今日も頑張るぞ !

 

それは 小風呂敷に包まれたでっかい二段弁当。

一段目には白いご飯ぎっしり・・・にフリカケ と 梅干し。  

二段目は オカズ専用。 オムレツ ( 彼は 卵焼き と主張 ) 

タコさんウィンナー  ほうれん草のハム巻き ブロッコリー・辛子マヨネーズ 

 昨夜の残りの煮物( 筑前煮っぽい ) が ぎゅっと詰まっているのだ。

どれもこれも 彼の 大切な大切なヒト の手作りである。

 

     でへへへ ・・・

     あ〜〜 はやく昼にならないかな〜〜

 

「 えへ・・・ さ〜〜頑張るぞ〜〜 」

 

    は〜〜い みなさん おはよう〜〜 ゴザイマス

 

アサダ課長が皆の前に立った。

世間では オンライン・ミーテイング とか 在宅ワーク が盛んだけれど

この小さな出版社は < 直・ミーテイング > に拘っている。

これは社員側からの要望でもあり、 始業時間は普通の会社より少々遅めなので

特に週始めは 全員が顔をそろえている。  

大手の出版社ではない。 全員が複数の業務を兼務している状態なので

< 誰が何とナニをやっているか  >  < どんな状態なのか > 

について 全員の共有意識が必須なのだ。

 

「 ・・・ そっか ・・・ふ〜ん 」

ジョーは 熱心にメモを取っている。

新人の彼は ほぼ雑用専門に近いが 一番必要な文具のストック とか

打合せの時のお茶の数 とか  それはそれでしっかり把握しておかなければ

ならない。

 

   ふんふん ・・・ そっか ・・・・

   あ コーヒー 買っておいた方がいいなあ〜

   お茶ばっかだと 飽きるし〜〜

 

   そ〜すっと あのちっこいミルクと砂糖、いるな〜

 

雑用係はそれなりに いろいろ気を使わねばならない。

 

「 ― それでは〜〜  今週もよろしく〜〜〜 

 

アサダ課長のいつもの〆で 新しい週が始まった。

 

  あ〜〜 アレさあ   オレ やりますよ  う〜〜 忘れね〜ぞ!

 

ボソボソ がやがや・・・皆 自分のデスクに戻り ― 戦闘開始。

ジョーも 今日の予定を組み立てる。

 

    えっと ― まずは原稿取り だな。

    S先生 ・・・ へへ また本が読めるなあ

 

    お〜〜っと 服装 しっかりチェックだ!

    シャツ 洗いたて。 ズボン、プレス済。

    ジャケット〜 ああ 脱臭ミスト しとくかなあ

 

    ソックス 新品! スニーカー 泥落とした!

 

 

 ドス ドス −−− 重厚な?足音が寄ってきた。

ウェスト周り貫録〜〜 の編集部長が 末席の青年に声をかけた。

「 あ〜〜 島ちゃあん  S先生の原稿取り 頼むな〜 」

「 スズキ部長! はい 時間厳守でイッテキマス!  

「 お〜〜 よろしく〜〜〜  

 ウチで担当がじりじり待ってるからね 」

「 了解です!  ちょっと早いけど でま〜す 」

「 おう 気をつけてな 」

部長 直々に? 社の玄関まで見送ってくれた。

 

「 ・・・ 彼 頑張ってますよね  うん いいぞ〜 」

課長のアサダ女史も にんまり〜〜している。

「 アサダ君  ああ そうだよねえ

 実はさ S先生の御指名なんだよ〜 島ちゃん でって。 」

「 え??? 

「 原稿取りは あの茶髪ボーイで、って伝言が一言ついてて。 

「 へえ〜〜〜〜〜  あの気難しい大センセイが〜〜 」

「 そうなんだよ。  最初はだたのバイク便のお使いサンかと

 思ったんだと。 彼のこと。 」

「 あ〜〜 そんな感じですよねえ 彼の風体だと・・・ 」

「 だよな  だけど ― あの律儀さっていうの??

 島ちゃんってちょっと古風な あ〜〜 昭和的なトコ、あるだろ? 」

「 昭和的? あ〜〜〜 そうかも〜〜〜  ああ そうかあ 

「 最初にさ     あ〜〜 そこのヤンキー?    って呼ばれて

 これ 地毛なんです、僕 ハーフで ってにっこりして・・・

 あとはきっちり立って待ってたんだと 

「 へ〜〜〜〜 

「 で S先生はイチコロ・・・ だったらしい。

 以来 彼は書斎の隅っこ に通してもらえてそこで待ってるんだと 」

「 へ〜〜〜〜〜〜 あの大先生の書斎に! 」

「 そ。 僕だって 入れてもらったこと、ないんだぜ 

「 ですよねえ ・・・ 」

「 なんか さ   アイツ ・・・ 凄いねえ 」

「 ふふ〜〜  将来 大化けするかもしれませんね 」

「 ふふん ・・・ よ〜〜く鍛えてやれよ〜〜〜 アサダ女史 」

「 お任せ☆  ウチの社の将来、明るいっすね 」

「 ああ  若いヤツら 楽しみだなあ 」

「 ふふふ 島ちゃん 今ごろガチガチに緊張してますね〜〜 」

 

  ― なんて上司はにまにましていたけれど。

 

その頃、 件の作家大先生宅では ・・・

 

「 こっちで待っていてくれるか 」

「 はい! 」

着流しの S大先生はジョーと書斎に招きいれた。

「 ああ 座っててくれ。 」

「 はい! 」

彼は 隅っこにそ・・・っと正座した。

その様子を作家氏は チラっと目の隅に置いていた。

 

時計の針の音も聞こえそうな時間が過ぎ ―

 

「 君。 」

「 はいっ!」

ジョーは ばっと立ち上がって直立不動だ。

「 ああ 楽にしてくれ  

 すまんな〜 もうちょっと掛かるんだ   あ〜 すまんな〜

 ・・・ 読みたければ 自由にしてくれ 」

S大先生は ざ〜〜〜〜 っと膨大な量の書架を指した。

「 え???    い い いいのですか??? 」

「 君のような若者には 興味ない本ばかりだがね 

「 い いえ!!!  拝借いたします!  」

 

― しばらくして。

作家氏が ちょいと伸びついでに立ち上がったところ・・・

 

原稿取りのワカモノは 茶髪のアタマを本の間に突っ込むみたいにして

読書に没頭していた。

 

    ほう ・・・?  

    なにを読んでいるのかな ・・・

 

「 ん?  ・・・ あ〜〜  なるほど 」

『 車輪の下 』 というタイトルがちらり、と見えた。

ジョー 本に没頭 ― そんな彼の様子を 作家氏はそう〜〜〜っと

ながめ にんまり していた。

 

    ふん ふん ・・・ 

    ・・・ 別世界 にのめり込んでおいで

 

    よしよし ・・・ なかなかの坊主のようだな

 

「 ・・ あ〜〜  いいかな? 」

「 ! は はいっ! 」

声を掛けられ ジョーはさっと立ち上がった。 

「 あ すいません ・・・ ! 」

手に本と持ったままだったのだ。

「 失礼を 」

「 あ〜 いやいやいいんだ いいんだ。  ―  その巻、読み終わったか? 

「 は  あと 少しです 」

「 そうか〜 じゃあ 読み終わってから帰社したまえ。

 ほいよ 原稿。 

「 わ!  あ ・・・ ありがとうございます !!! 」

ジョーは 値千金? な 作家氏の草稿を押し頂き

 す・・・っと社名の入った封筒に丁寧に収めた。

さらに それを透明ファイルにいれ厚紙で挟んでから

リュックにそう〜〜〜っと入れた。

 

    ほう ・・・?

    なかなか 念の入ったことだな

 

    すぐに社にファックス とかせんのかね

 

作家氏は興味深々で この若者の行動を観察していた。

「 ・・・ あ〜〜 君? 」

「 !? は はい! 

「 ああ そんなに畏まらんでいいよ  ご苦労さん。

 待たせてすまんかったな〜 」

「 い いえ!!  ご本、読ませて頂きまして

 ありがとうございました!  」

「 いや ・・・ 

「 では これで失礼いたします。 ありがとうございました 」

ジョーは しっかりとリュックを抱いたまま 深々とアタマを下げた。

「 あ  いや  その ・・・ 待たせたな〜

 あ〜〜 君 名前は? 

「 はい??  あ  ○×出版編集部 の 島村 です。 」

「 そっか うん ・・・・ ご苦労さん  また頼むな 」

「 は !!! 」

若者は 茶髪を翻し玄関でも一礼すると あとは一目散に駆けて行った。

 

「 ふうん ・・・ イマドキねえ 〜〜〜

 あんな若いのも いるんだなあ   シマムラ君 か ・・・ 

 うん  気に入った! 」

 

  ― こうして 以降 

茶髪ボーイ 否 島村ジョー君 は 大作家先生の <専属原稿取り> 

をやっているのだ。

 

 

 さて わいわい・がやがやの編集部も お昼休みとなった。

( シマムラ君も 大事そう〜〜にリュックをかかえ 無事に帰社していた )

 

「 あ〜〜 ヒルメシ買い物、でますけど〜〜〜? 」

出入り口で ひょろりとした若者が声を張り上げている。

「 あ〜〜 オダく〜〜ん   いつもの松花堂べんと〜 頼める〜〜 」

「 オッケ〜っす   アサダ課長〜〜  

 あと??  ぶっちょ〜〜〜  昼メシ 買いにでますぅ〜〜〜 」

  どんどん ・・・  若者は部長室のドアを叩く。

「  ・・・ お〜〜〜 すま〜〜ん  すまんな〜〜

 カツさんど 二個  いいかあ 」

「 ぶっちょ〜〜 ・・・ 野菜サンド 一 っすね? 」

「 ・・・わ〜〜ったよぉ  カツサンド 一 野菜サンド 一 で 

「 了解っす〜〜  あと〜〜 は〜〜 ?  いないかあ〜な  」

まだ校了日には間があるので 弁当組 は少ない様子。

「 オダっち?  君は ランチ 行かんの? 」

「 あ〜〜 かっちょ〜〜 俺 読みたい記事 満載で〜〜

 昼休みは 貴重なんス  じゃ イッテキマス〜〜 」

「 ほいほい  ありがとね〜〜〜 」

スズキ部長は 部長室に戻り アサダ課長は珈琲を淹れに給湯室に籠った。

 

     がらん ・・・ とした部屋は 案外面白い。

 

乱雑さの中になんとかPCが < 生えてる > みたいなデスクが多いが

それなりにささやかな空間が作ってあったりするものだ。

「 ん〜〜〜  と。  午前の業務 終了〜〜っと 」

 

    カタン。  ジョーは椅子を引き 大きく伸びをした。

 

そして ― 机の引き出しを開け手を突っ込む。

閑散とした部室の隅で  ジョーは 弁当箱を引っ張りだし に〜〜んまり。

 

「 ふっふっふ〜〜〜  あ お茶〜 熱いの、淹れてこよっと 」

 

これからほぼ30分は この空間と時間を独り占め だ。

オダ君は戻って来るが 彼は彼で昼食と雑誌読みに没頭するので

異次元の住人 となる。

ちなみに オダ君曰く ―

「 あ〜?  メシ喰いながら読むのは紙媒体っス!

 スマホはいちいち触んなきゃなんないッスか〜〜〜 メンドイし〜

 汚れるし〜〜〜  紙なら 喰ってる箸でパラリ じゃん? 

 

 ― だそうで 濃いオタク世界持ち には雑誌が推し だそうである。

 

「 ふんふんふ〜〜〜ん♪ 」

ジョーは ハナウタまじりに机に小風呂敷を広げ ( ランチョン・マット

 になる )  ででん・・・ と二段弁当箱を置いた。

湯気の立つ茶碗と お箸箱もきちんとおいて。

「 では 感謝の気持ちを込めて ― イタダキマス 

軽く十字を切り ( これは彼の身に染まっている習慣である )

手を合わせてから ―  そ〜〜〜っと蓋を取るのだ。

 

「 ん〜〜〜〜〜   さいこ〜〜〜〜〜♪ 」

 

しばし シマムラジョー君 の至福の時間が流れる。

 

 

 

          *************

 

 

 

 さて ちょいと時と場所が変わるが −−−

それは 彼らが初めてこの国に 本拠地を置いた頃のこと。

 

 

春もまだ浅いある日 ・・・ ジョーは 金髪のフランス娘さんを

地元のコンビニに案内した。

 

「 これ コンビニ。 だいたいのモノが置いてあるんだ。

 24時間 やってるし便利だよ 

「 ・・・ そう?  小さなマーケット なの? 」

彼女は 大きな碧い瞳をまん丸にしている。

「 まあ そうかも〜〜  簡単な薬もあるし靴下とかタオルもあるよ

 文房具とか雑誌も置いてるね〜〜

 あ こっちにねえ 食べ物、あるよ〜 サンドイッチに お握り。 

 惣菜もあるし〜 あっちのケースには冷凍食品も ・・・

 ― あれ?? フランソワーズ ? 」

「 ・・・・ 」

彼女は サンドイッチの棚の前で停止しているのだ。

「 あ〜〜 なにか欲しいの、 ある? 」

「 ・・・ すご い ・・・ 

「 え?? なにが 」

「 これ  全部 サンドイッチ ? 」

「 え  ああ そうだけど・・・? 」

「 なんでこんなにいろんな種類が あるの??? 

「 ・・・ え  そう?  ここは まあ普通の品ぞろえかな〜

 大分 売れちゃってるしさ 」

「 サンドイッチって ・・・ ハム とか たまご とか 野菜に

 チーズ くらい だと思ってたわ 」

「 え〜〜〜〜 そうなの???  きみのトコだと そっか〜〜〜  」

「 ・・・ 初めて見るわ ・・・! すごい ・・・ 」

カツサンド やら ツナサンド  照り焼きチキン に フルーツ・サンド。

なんでもござれ・・・のニッポン・コンビニのラインナップに

フランス娘さんは 目をまん丸にしているのだ。

「 あ〜〜 なにか好きなの、 ある? 」

「 え ・・・ え〜〜と・・・? 

 あ!!  ねえ お隣の これは なあに??? 

 丸いのや三角のが ころころ・・・・いっぱいならんでる〜〜〜 」

「 あ〜〜 」

今度は お隣のお握りの棚の前で 彼女の足は止まってしまう。

「 こっちはね お握り。  あ〜〜 ゴハンの中にいろいろ・・・

 入ってるんだ。 ツナマヨ とか おかか とか。

 チャーハン握り なんてのもあるよ。 チンするとかなりウマイ 」

「 ・・・ ねえ   この ・・ 黒いのって なに。   紙? 」

彼女は とても控えめに < 黒いカタマリ > を指した。

「 え ・・・ なにって 海苔・・・   あ〜〜 そっか

 海外にはないのか〜〜  あのね う〜〜んと ・・・

 海藻をね 乾して紙みたいにしたモノでね ゴハンを包んであるんだ。 

 パリっぱりでオイシイよ〜〜 」

「 かいそう?  ・・・ 海の中の アレ? 」

「 そ。 ちゃんと養殖して海苔にするんだ。

 ニホンジンはねえ 皆 海苔、大好きだよ。 美味しいよ〜 」

「 ・・・ 黒い食べ物って 初めてみるわ ・・・ 」

「 そう? 別にこういう色の海藻だから さ。 染めたりしてないし。

 ね 食べてごらんよ?  好きになるから 」

「 ・・・ ちょっと遠慮しておく。 」

「 そっか〜〜  それじゃさ  こっちの チャーハン握り とか

 半熟卵握り はどう?  海苔、ないけど美味しいよ 」

「 じゃ ・・・ チャーハン、食べてみるわ 」

「 うん  ウチでチンしよう  ウマイよぉ〜〜 」

「 そ そう?   あ!!  これ なに??  うわあ〜〜

 キレイ〜〜  あ 可愛い〜〜〜  これ なに??  」

「 あ・・・ お握りは ・・・ 

金髪サンは今度は向かい側の アイスのでっかいケースの前に 張り付いた。

「 きゃ〜〜   え? カバー ないけど ひ〜〜んやり・・・

 ああ ここ、冷凍ケース なの?? 」

「 え ・・・ ああ それ 全部アイスだよ〜〜 」

「 あ アイス?  アイスクリーム??  ジュレとかも ある? 

「 じゅれ?  ああ シャーベットみたいなのだよね  えっと〜〜〜

 あ コレそうかな〜  あ これウマイよ〜〜  白熊! 」

「 しろ くま??  ・・・ クマのアイスクリーム ??? 」

「 あは 違うんだ フルーツ入りの練乳カキ氷 かな 

 美味しいよ〜〜  ぼく イチオシ! 

「 へ え ・・・ あ 本当だわ  フルーツね?

 オレンジにパイン・・・  この赤いのは   え??  いちご?? 」

「 あ〜 それ チェリーだね 」

「 きゃあ 美味しそう〜〜〜〜 買ってきましょうよ 

「 ・・・ 今の時季にかき氷 って寒くない? 」

「 大丈夫 大丈夫 お部屋で食べるんだもの  」

「 そうだね〜 じゃ シロクマとぉ お握りは チャーハン握り。

 それから サンドイッチは 〜〜 

「 あら!? こっちは飲み物ね!?  おちゃ?  すご〜〜い・・・ たっくさん・・・

 え コーヒー  カフェオレ?  わあ〜〜 ジュースも?? 」

「 ああ ここで淹れるコーヒーもあるよ  結構 美味しい 」

「 ふうん   ・・・ あ こっちは  お水 ね? 」

「 ○○の天然水 とかね〜  まあ あまり味は変わらないけど 」

「 わあ〜〜〜  エビアン ある!! 」

「 うん?  あ〜 その水は きみの国のだろ?

 ちょいと塩っぽくて好きだよ ぼく。 

「 買うわ!  きゃ〜〜  なんか嬉しいわあ〜〜〜 」

「 じゃ ・・・ ケースで買おうか? 」

「 え!?  そんな ・・・ 」

「 ケース買いの方が安いよ。  あとで取りにくればいいよ 

 え〜と  サンドイッチはどれがいい? 」

「 えっと えっと〜〜〜 ♪♪ 」

「 あ〜 こっちにね〜 冷凍食品 あるよ 」

「 え ・・・ うわああ〜〜 すごい〜〜〜〜  

 ねえ ねえ  ラタントウイユ もあるわ〜〜〜 」

・・・ 彼女はまた その棚の前から離れなくなってしまった・・・

 

 ― 結局 帰りは 009でもちょっとため息がでるくらいの

大荷物になった。

 

「 ね! こんびに ってスゴイのね〜〜〜〜 

 この町の有名店なの? 

「 え ・・・ あ〜 あそこは 普通 かなあ 

 あのね ほ・・・っとどこにでもあるんだ コンビニ。

 品揃えは どこもあんな感じさ 」

「 ふう〜〜〜ん ・・・ あ 24時間営業 って

 夜も朝も昼も   やってるの?? 」

「 うん ずっと。 年中無休だし。 」

「 すっご〜〜〜〜〜い〜〜〜  」

「 まあ 便利だけど  ちょっと割高かな 」

「 え。  もっと安いトコ あるの? 」

「 詳しくはないけど  地元の商店街は 安いと思うよ。

 個別のお店が ば〜〜っと並んでるからね 」

「 ― つれていって!! 」

「 いいけど  明日とかにしない? 

 今日は ほら荷物 いっぱいだし 」

「 一度 帰ってから また出ましょ?

 晩ご飯のお買いモノ、 したいの。 しょうてんがい に

 連れていって 」

「 ・・・ わかった よ 

ジョーは 溜め息を隠し チカラなくうなずいた。

 

    オンナノコって。 

    ほ〜〜〜んと買い物 好きだよなあ〜〜

 

 ― これが 彼の < 女性のリアル > についての

学び始め だったらしい。

 

さて ―

ニッポンのコンビニ に感激していた?お嬢さん だけど。

すぐに 地元の 海岸通り商店街 の御贔屓さん となっていった。

持前の笑顔で 彼女はたちまち地域社会に解け込んだ。

 

   これは どうやって食べるのですか? ( にっこり )

   すごく美味しそう〜〜〜 教えてください!

 

こんな風に金髪嬢が微笑かければ 商店街の おっちゃん も おばちゃん も。

気難しいはずのじ〜ちゃん も ば〜ちゃんも み〜〜んな 

 

    ああ これはね〜〜〜  

 

と にこにこ顔で説明してくれるのだった。

 

もちろん 駅の裏にある大型スーパーもちゃんと利用している。

トイレット・ペーパー とか 飲料水 とか 洗剤とか 

ジョーが車で買い出しに行く。

 

だけど 食料品については ほぼ地元産 になっている。

「 え? ああ お野菜はね〜〜 やっぱり八百藤さんよ〜〜

 ひとつ ひとつ 見て選べるし いろいろ 食べ方、教えてもらえるし?

 お肉やお魚 もね 専門店 がいいの。 

 だってね〜〜 お魚なんか 朝 水揚げしたのが並ぶのよ 」

 

それが この頃の当家の主婦の発言だ。 

 

「 そうなんだ〜〜  ウチのごはん おいし〜ね〜〜〜 」

 

かつてコンビニ常連だったジョー君は ほっこり笑顔の日々 だそうである。

 

Last updated : 04.04.2023.                index       /       next

 

***********  途中ですが

なんてことない ・ 食べ物ハナシ・・・・

でも 皆 興味あるかも〜〜〜  (>_<)

ぐだぐだ話 が まだ続きます (+_+)